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”牛に引かれて善光寺参り” の舞台「布引観音」

「牛に引かれて善光寺参り」は、
小諸市の布引観音を発祥とした”ことわざ”です。

思わぬ他人の誘いで、物事が良い方向に向かう。

今、縁あってこのページをご覧のみなさま、
小諸への興味をお持ちであるならば、
これはまさに吉兆。

あなたにとって良いことが起こるかもしれない小諸の旅へ

 


|善光寺街道、小諸に魅かれて寄り道の旅

 

善光寺街道沿い、古の旅人気分で

小諸市を通る古の道・北国街道。別名・善光寺街道ともいわれています。

各地から、この北国街道を通って、多くの参拝者、旅人が善光寺を目指したことでしょう。その北国街道の雰囲気を色濃く残す小諸。街道を歩くと、当時の旅人気分を味わうことができます。

善光寺に向かうなら、小諸は外せません。実は善光寺に関係するスポットがいくつかあります。北国街道 小諸宿の脇本陣(わきほんじん)は、江戸時代後期に造られたといわれ、いくつかの変遷を経て、「脇本陣の宿 粂屋(くめや)」として、旅籠風の宿に。江戸時代の歴史ある建物をリノベーションした宿は、歴史好きの心をくすぐります。

当時、善光寺へ参拝に訪れる人々の中には、せっかくここまで来たのだから、粂屋で一泊し、旅人気分で布引観音釈尊寺を訪ねたり温泉で疲れを癒したり、観光気分の人も多かったとか。

小諸には善光寺関連スポット以外にも温泉、グルメ、高原リゾートと楽しみ方はたくさん。一泊してゆったり小諸を楽しむのがおすすめです。善光寺へ向かう途中で寄るもよし、善光寺の後にさらなる余韻を楽しむために寄るもよし。

 


 

「牛に引かれて善光寺参り」の舞台「布引観音」

 

牛の姿、岩肌に現れる

小諸といえば、「牛に引かれて善光寺参り」の伝説の地・布引観音(釈尊寺)で知られています。

布引山の麓で暮らす不信心な老婆に仏の道を説くため、観音様が牛に化身し、老婆が千曲川で洗濯した白布を角でさらい、追いかけさせて善光寺へ導いたという伝説。

善光寺に辿り着いた老婆は、牛のよだれが「牛とのみ思ひはなちそこの道に なれを導く己が心を」と、仏道の悟りを意味していたことから、信心深くなったそうです。

それにしても、小諸から善光寺までゆうに50kmあり、おばあさんも相当な体力と気力の持ち主です(笑)。いまでも布引山の断崖に、老婆とともに岩になった布の姿である”布岩”を岩肌に見ることができます(場所は後述)。しなの鉄道に乗車した際には、千曲川の方を臨み、白くて縦に細長い岩肌を見つけたならば、それが布岩かもしれません。

布引観音は「布引山 釈尊寺」が正式な名称で、切り立った崖に建てられた懸崖(けんがい)造りの観音堂が有名です。崖下から参道を上っていくのですが、ちょっとした修験者気分を味わえそうな雰囲気も魅力です。参道沿いには、「牛に引かれて善光寺参り」の伝説に関連するものがいくつかあります。

(参道入口)

参道入口から10分ほど上っていくと、途中、牛岩といわれる岩が見えてきます。岩自体が牛の形をしているのではなく、岩肌の凹凸が、牛が浮き上がってみえてくるというもの。目を凝らしてみると、確かに牛の姿が見えるような・・・。釈尊寺さんに伺ったところ、岩肌が湿っている時のほうが分かりやすいとか。

(牛岩)

(牛岩アップ)

善光寺とつながる穴

そこから少し上ったところには、善光寺までつながっているといわれる“善行寺穴”があります。昔、善光寺が火災になった時、この穴から(火災の)煙が出たという伝説が。この穴に入ってみることは不可能で真否は定かではありませんが、こういったエピソードが生まれるのも、善光寺信仰の深さなのでしょう。

(善光寺穴)

 

意外と見落としてしまいそうなのが、参道脇にある仁王門。かつては、仁王門を通って、真上にそびえる観音堂へ参拝できたそうです。(※現在は仁王門からは観音堂へは行けません)仁王門には、2体の仁王像が安置されています。真っ赤な仁王像は迫力十分で、思わず見入ってしまいます。

 

 

奪衣婆(だつえば)が頭から離れない

参道入口から15分ほど歩くと境内に出ます。ここからの景色は素晴らしく、朱色の観音堂と背景に映る浅間山は小諸を代表する景観の一つになっています。でも、これだけではありません。観音堂だけではなくほかにも見どころが数多くあります。

本堂脇を通って崖伝いに観音堂へ向かっていくと、護摩堂、太子堂、愛染明王堂などの建物がありますが、そのどれもが岩窟に埋め込まれたように建っています。釈尊寺はこれまでに3度の火事にあい、寺に関する資料が残っていないため、現在ある伽藍の多くはいつの時代のものか定かでありませんが、小諸城主牧野周防守康明によって再建されたものではないかといわれています。

観音堂までは岩壁をくりぬいたトンネルを抜けていきます。長さ15mほどのトンネルですが、手掘りだったというから恐れ入ります。トンネルを抜けてすぐ目に入るのが、六地蔵と並ぶ閻魔大王と奪衣婆(だつえば)の石像。特に奪衣婆の表情があまりに印象的です。奪衣婆というのは、三途の川で亡者の衣服を剥ぎ取る老婆の鬼で、あの恐ろしい表情にも納得です。

その直後に出くわすのは、何ともかわいい表情の狛犬。奪衣婆とのギャップが激しく、ほっとします。

(六地蔵と並ぶ閻魔大王と奪衣婆)

(奪衣婆アップ)

(布引山 狛犬)
狛犬

岩窟の観音様

そこを過ぎれば目の前には朱色に塗られた観音堂が。和風建築のひな形ともいうべきもので、鎌倉様式を現した貴重な建造物です。この観音堂の中に釈尊寺観音堂宮殿(小諸市公式サイトリンク)があり、昭和11年に国宝に指定されていましたが、現在は国の重要文化財となっています。

懸崖造りの観音堂の舞台は、岩窟にあることもあって、独特の雰囲気があります。足元の崖下を見て高さを実感(身を乗り出して転落しないように注意)。観音堂には善光寺と同じように「びんずる」さんの像があります。びんずる像は、「撫で仏」といって病気で患っている箇所を撫でると治るといわれています。たくさん撫でられたのか、かなりの古さを感じますが、かえってありがたさが伝わってくるようです。

観音堂には、武田菱の紋があり、武田氏との関係が気になります。これまでの3度の火事のうち、一度は武田信玄に攻め込まれたときといわれています。小諸は武田氏にも、信濃侵攻にかかる重要な地として認識されていました。果たして、観音堂の武田菱との関係は・・・。

参道を降りたら、東御市方面へ。

1kmほど進んで振り返ると、岩壁に縦筋状に長く白く見える部分があります。白い布に見えることから、布岩と呼ばれています。これが、あの牛が持っていった白い布と老婆が岩になったと伝えられている岩なのです。いまでも、善光寺方面に向かって、拝んでいるようにも見て取れます。

 


 

小諸にもあるよ、善光寺

布引観音のほかにも善光寺にゆかりのあるスポットがあります。全国に善光寺の名を冠するお寺は100以上あるといわれています。なぜ、全国各地にあるかといえば、平安時代に善光寺聖という僧が、ご本尊の分身仏を背負って、全国に善光寺信仰を広げたからだそうです。

そして、小諸にも「善光寺」があります。正式名称は、「立志山 大雄寺(だいゆうじ)」。通称「小諸善光寺」で、地元では「善光寺さん」と呼ばれ、親しまれています。

 

小諸善光寺の由来

小諸善光寺の御本尊は、長野市の善光寺と同じ一光三尊阿弥陀如来。鎌倉時代の寛元2年(1244年)に作られたもので、長野県宝に指定されています。しかし、小諸善光寺の開基は昭和5年(1930年)。鎌倉時代に作られた一光三尊阿弥陀如来像が、このお寺の本尊になっているのはなぜか。

実はこの一光三尊阿弥陀如来像は、もともとはお隣・佐久の落合新善光寺の御本尊として作られました。戦国時代、武田信玄と村上義清の争いの中、兵火に遭い、寺は焼失。梵鐘は信玄に掠奪されるも、一光三尊阿弥陀如来像は山に埋め隠し無事だったといいます。

その後、信玄は新善光寺(落合善光寺)を再建、如来像も安置されました。江戸時代には、一光三尊阿弥陀如来像は、江戸で「出開帳」(方々へ出向いて御開帳をすること)を行うなど、江戸でも信徒を得ていたようです。しかし慶応2年(1867年)、新善光寺は火事に見舞われ全てを焼失してしまいました。同時に一光三尊阿弥陀如来像の所在は不明、忘れ去られてしまいました。

その後、大正時代になって、当時、落合新善光寺の流れをくむ時宗寺にいた大圓道雄和尚は、一光三尊阿弥陀如来像が東京にあることを知り、長野へ戻るよう尽力しました。道雄和尚の出身地・小諸で「立志山 大雄寺(小諸善光寺)」が開基されることになり、一光三尊阿弥陀如来像をご本尊として迎えたのです。まさに、一光三尊阿弥陀如来像あっての小諸善光寺です。

 

桜と御開帳を一緒に

長野の善光寺と同時期に御開帳になります。中央に阿弥陀如来、向かって右に観世音菩薩、左に勢至菩薩が並んでいて、善光寺の「前立本尊」と同じで、通称、善光寺式阿弥陀三尊像ともいわれています。

境内のソメイヨシノは訪れる人の心を和ませてくれます。御開帳期間中に、満開の時季を迎えます。

境内の見学も、自由に散策いただけますので(駐車場あり)、この機会に訪れてみてはいかが。

 


 

「牛に引かれて善光寺参り」は、
小諸市の布引観音を発祥とした”ことわざ”です。

思わぬ他人の誘いで、物事が良い方向に向かう。

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